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良いオトコになりたい理由
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side:Lockon







「ロックオン、服を貸してくれ。」






「……は?」


相部屋の愛し子、 刹那が、唐突に俺に頼んできた。






「駄目ならいい。」


「いや、別に俺は構わないが……、いきなりどうした?」

洗濯物が溜まって、着がえるものがなくなったのだろうか。
刹那にしては珍しい。










いつも俺の目を見て話す刹那が、珍しくうつむいて言った。

「さっきクリスから『お洒落じゃない』と言われた。」










意外すぎるその発言に、俺はどう返答していいか分からなかった。


いくら落ち着いているように見えても、確かに刹那は15歳、思春真っ盛りだ。

異性から良く思われたいと思うのは当たり前だ。

ましてやその相手が、美人でナイスバディの、優しいお姉さんなら。














恋は人を大人にする。




隠せるならバナナの木の葉っぱで構わない、と言っていた刹那が、初めて着るものに関心を持ってくれたのが、いい証拠だ。







ああ、せっちゃんも着実に大人の階段を登っていくんだな……。







俺はこの時ズキンと傷んだ胸の痛みを、父性愛から生まれた寂しさだと思いこんでいた。




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