1/1ページ目 「ロ、ロックオン……!!」 まだ幼い俺自身から銃を奪い、走り出した、その時に俺は彼に出会った。 薄暗く寂れた俺の故郷に、彼は一人でたたずんでいた。 横顔の奥、右目には黒い眼帯。 憂い気に瞼が伏せられ、美しい翠碧は見えない。 「刹那、」 懐かしい響きが胸を震わせる。 「過去によって変えられるものは、今の自分の気持ちだけだ。」 ゆっくりと彼がこちらを見た。 待ち望んだ彼の瞳が、俺を捉えた。 「っ…………!!!」 ……あんなに会いたいと思っていたのに、 あんなにもう一度だけでもいいから、彼の姿を見たいと願ったのに……。 俺は悲しくて堪らなかった。 もし、もう一度でもその翠碧が見れるのなら、 もし、たったの一度だけでも彼が俺の名を読んでくれるのなら……。 何度そう思い、枕を涙で濡らしただろう。 あの爆発から4年間、ずっと見続けてきた夢。 彼が笑って抱きしめてくれて、悪戯っぽく、でも優しいキスをしてくれる暖かい夢……。 俺はその温度に酔いしれながらも、心のどこかでは「これは夢だ」と把握していた。 蕩けるような口付けを甘んじて受けながら、「目覚めたくない」と強く願った。 彼の死亡を認めていた訳ではない。 むしろ、彼はこの世界の何処かでまだ生きていると信じていた。彼も同じように俺の夢を見ているのだと。生きているからこそ、こんな夢を俺にみせるのだと。 そう信じていたからこそ、今、こうして彼に対峙して悲しくなった。 これは、いつも見る夢とは違う。 彼が、はっきりと俺に語りかけている。 ……ああ、ロックオンは死んだんだな。 俺は、今はっきりと悟った。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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