1/6ページ目 刹那と母親を後部座席に乗せ、俺は近くの病院に向かった。 俺は眠ったままの母親を抱きかかえて診察室に入った。 ポニーテールの男性の医師に診てもらった結果、やはり急性アルコール中毒だろう、と言われた。 過労と軽い栄養失調もあるそうだ。 「…………アルコールって、残酷だよね……。」 診察しながら、医師がボソッと呟いた。 「世の中から全てのアルコールが無くなればいいのに………。」 眼鏡の奥の眼差しは、憎悪に満ちていて怖ろしかった。 結局、点滴で血中アルコール濃度を薄めながら2、3日だけ入院、ということになった。 刹那は、病室のベッドにへばりついて離れない。 息子の心配など露知らず、母親はぐっすりと夢の中だ。 診察の間も一度も目を覚まさなかった。 一旦駐車場に戻った俺は、心配しているゼミ生たちの為に、研究室に電話をかけた。 プルル……「ロックオンッ!!!!!!?」 1コール目でアレルヤが出た。 耳がキーンとする。 「………アレルヤ、電話口で叫ぶな。」 「あ…、し、失礼……。 じゃなくて!!刹那、どうなっ、…ぅわぁっ!!」 急に雑音がして、 「おいあんた!!!連絡がおせぇんだよ!!!!チビはどうなった??!!」 と、ハレルヤが怒鳴る。また耳がキーンとする。 「ああ、遅くなって悪かったな。刹那は元気だ。」 とりあえず、まず要件を伝えると、電話の向こうで「刹那は無事だって〜〜!!」とアレルヤが叫ぶ声が聞こえた。 アレルヤもハレルヤのそばで聞き耳をたてているのだろう。 「で?あんたは今どこだ?」 「刹那のお母さんがちょっと過労でな、病院に連れてきた。」 まさか飲み過ぎで倒れたとは言えない。 「?、大丈夫なのか!?」 「ああ、2、3日入院するらしいが、全然大丈夫だ。」 「お袋さんの見舞いに行ってもいいか?」 「……ん…、そっとしてあげたほうがいいんじゃないかな〜。」 複雑そうな家庭だからな。 その後、心配していたフェルトも安心させてから電話を切った。 うちのゼミ生たちは本当にイイ奴らばかりだ。 普段からこうなら、もっと良いのだが。 俺は車からカバンを取って、病院内に戻った。 それから受付で、診察料や入院費諸々を全額自分が支払うように手続きをした。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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