1/9ページ目 ――ギィイッ…… ドアが開く、錆び付いた音がした。 ……まさか、ロックオン!? 誰もいないのを良いことに思う存分泣き叫んでいた刹那は、ぎょっとして屋上の入り口を見つめた。 ……逃げ切れたと思っていたのだけど。 でも、ロックオンのことだ。きっと一生懸命走って探し続けているにちがいない。 見つけられるのは時間の問題だと、どうして思わなかったのだろう。 いくら屋上とはいえ、こんな大声で泣き叫んでいたら、すぐに見つけられてしまうということが、どうして分からなかったのだろう……。 自分の迂闊さを呪い、瞬時に辺りを見わたす。 がらんとした屋上には、隠れるところはほとんどない。 だが、隅の方に23世紀が近くなって使われなくなった給水タンクが幾つか放置されている。 刹那はとっさにその陰に隠れた。 ――ギィィイ……、カツ、カツ、カツ、 息を殺し、様子をうかがう。 今の自分は、泣きはらしたひどい顔だ。 こんなグシャグシャの顔では、ロックオンに言い訳は通用しないだろう。 どうか俺に気付かすに立ち去ってくれ……。 ギュッと目をつぶり、誰にでもなく祈る。 ――カツ、カツ、カツ、……カツッ。 足音が不自然に止まった。 ハッとして目を開く。 ……見つかってしまった……!? ――カッ、カッ、カッ、カッ、 コンクリートを軽快に蹴る革靴の音が、自分の隠れている給水タンクへ近づいてきた。 心臓が早鐘を打つ。 パニック状態の思考は、 〔日本ではこのような状況を“万事休す”と言うのだ〕 などと、余計なシナプスを繋げていた。 と、その時、 ――タッタッターンタ、タッタン!タタタッタッタッタンタン! なんとも勇ましい音楽が流れてきた。 近付いていた足音が、ピタ、と止まった。 ……助かった……。 ホッと胸を撫で下ろしながら、ロックオンの携帯はこんな着信音だっただろうか、と記憶をさぐる。 ……チャリラ、チャリラ、チャリラ、チャリラ…ピッ 「もしもし?……ああ、君か。」 男の低い声が凛と響いた。 09.02.22 グラハムの着メロは、やっぱりあのテーマです。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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