大学パロ

壁にかけたのは、憧れの人
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初めてその人を見たのは、世界宇宙工学研究学会が発行している学誌の中の1ページだった。






そこには彼の書いた論文と、数名の著名な学者の評価が載っていた。

どの学者も、
「宇宙工学研究の分野の幅を大きく広げる素晴らしい発想だ。」
とか、
「GN粒子の価値を世界に示すことに貢献した。」
とか、とても高い評価をつけていた。



俺も論文を読んだが、同じように感じた。

いったん拡散させたGN粒子を透過物の中で圧縮させて内部だけを切断する。
上手くいけば、建築や医療にまで導入出来るだろう。
とても斬新で凄い発想だと思う。






プロフィールの横に、来年度からアソシエイトプロフェッサーとなる、と書いてあった。

アソシエイトプロフェッサ…………つまり、助教授。

勤務先は、俺が合格した国内随一の大学だ。







俺は白黒の小さな顔写真を凝視した。

若干24歳だというこの北欧人は、とても綺麗で心底憧れた。




俺は来月からこの大学に通う。

願書と共にに申し込んだ返還義務なしの奨学金も、無事に受けられることになった。





俺も必死に頑張って、彼のような優秀な学者になろう。

凄い発明をして、企業からスポンサーになってもらって、負担ばかりかけている病弱な母さんに良い暮らしをさせてあげよう。











俺は、学誌のその論文のページを開いてそっと透明のファイルに入れ、壁に飾った。



彼は俺の目標になった。



















そして、春の強い南風が吹く日の午後、俺は彼に出会った。










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