■ 銀英伝【ライヤン】

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 肌を重ねることに抵抗がある訳じゃない。
 だけど、好き好んでしたいことでもなかった。


 いくつものキスを重ねる。
 愛おしむために。
「ヤン…」
 ふれあった素肌から、熱が伝わる。
 その熱に意識を奪われ、ヤンはラインハルトの背にまわした腕に力を込めた。
 ヤンの肌をたどる手をラインハルトは止め、深く、口付ける。
 息を奪うほどに。
「…ん、」
「ヤン」
 ラインハルトが呼ぶと、ヤンはかすかに目を開いてラインハルトを見た。
 しかしその目はどこかうつろで。
「卿…、お前が、欲しい。俺のものにしたい」
「いいですよ……」
 私を、全部、貴方のものにしていいです。
 だけど、貴方は私のものにならないでください。
「好きだ」
 繰り返される言葉。
 繰り返されるキス。
 そして。
 自分の体内で他人のリズムを感じて、刻まれて。


 かつて、恋はした。
 けれど。
 私が私であることは変わらなかった。
 今は、変わってしまいそうな気がする。
 自分の中の、何か。


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