ウラジーミル・ヴィクトロヴィッチ・スミルノフ（Vladimir Viktorovich Smirnov 1954年5月20日生）［ソ連・フェンシング選手］
ウクライナ・ルハンシク州ルビージュネ出身。スミルノフは1980年モスクワオリンピックの個人フルーレで金メダルを獲得、1981年の世界選手権においても優勝を収めている。
1982年、ローマで開かれた世界選手権において、スミルノフは西ドイツのマティアス・ベールと対戦。その際ベールの剣が試合中に破損し、折れた剣がマスクを突き破り、さらに眼窩（眼球の入っている頭蓋骨のくぼみ）から脳を貫通したことにより9日後に死亡した。
事故後、直ちに病院へ搬送され、生命維持装置が取り付けられたが、選手権での最後の試合が終了したときにそれは外された。選手権の間に彼が死んでしまうことなど誰も望まなかったため、彼はその間生命を維持されていたのである。
スミルノフの事故は痛ましい事故であったが、フェンシングにおける安全な用具の飛躍的な発展を促す大きな契機となった。最も特筆すべきは、より頑丈なマスクの導入である。マスクのメッシュは標準のもので12kgの検査に耐える必要があり、FIEマスクでは25kgである。スミルノフが当時使用していたマスクは、現在の標準マスクの半分程度の強度しかなかった。他には、800Nの強度を持つ素材がジャケット、プロテクター、ニッカーに用いられるようになり、フルーレとエペにマレージング鋼が採用されるようになった。そして、服の重ね合わせや、ファスナー及び縫い目の位置など、様々なルール変更が行われていている。
1982年7月27日死去(享年28)
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